身近に感じた地域の光景の変化 - 鑑定法人エイ・スクエア/田島耕一
私の住んでいる多摩東部地域では、企業のグラウンドや林地・農地であったようなところを大手不動産会社が開発した分譲住宅地が多くみられます。私の現在の住まいもこういった住宅地の中にあります。ある程度の規模をもつ宅地開発でしたので、この分譲地で一つのコミュニティとして独立しています。
地域内の道路は、ここの住民以外の他地域からの自動車の進入は殆んどなく、子供たちの格好の遊び場所となっています。休日の日中など、子どもたちが楽しそうに遊んでいる声が聞こえてくると、何故だかこちらのほうも朗らかな気持ちになってくるものです。
最近、平日の夕方に、子どもたちがお父さんと外で遊んでいる姿を多く見かけるようになりました。
以前は、子どもたちと一緒にいるのは殆んどお母さんだったのですが、新型コロナの影響で在宅勤務が増え、リモート飲み会にも飽きたと思われるお父さんたちが、子どもたちと一緒に笑いあいながら走ったり、ふざけあったりしています。
今まで都心に通勤していたお父さん、お母さんが在宅で勤務することが通常の労働形態となっていけば、密になりやすい都心のマンションよりも、さほど頻度の高くない都心への通勤や買い物などの場合にもそこそこ便利で、自然も楽しめるような郊外の住宅地を選好する動きはある程度続くものと思われます。
都心では高くて手が出なかった物件も、手の届く範囲で買えるようになります。時間的にも余裕ができ、また経済面でも余裕ができれば、豊かな生活を送れます。環境面も改善し、子育て環境も良好になるとすれば、少子高齢化にも多少なりとも歯止めがかかるのではと期待させるような光景です。
お父さん同士やお母さん同士、あるいは子どもも含めた家族同士で話が盛り上がっている様子も時々見受けられます。コミュニティが希薄化しているともいわれますが、ここでは隣に住んでいる人の顔も見たことがないというようなことは無いように思われます。
近所の人たちが顔見知りになれば、見知らぬ人がうろうろしていたら注意を向けるので、防犯対策にもなり、安全な環境が保てます。
住民の高齢化やそれに伴う医療施設不足、都心回帰など、コロナ前までは郊外の住宅地にはネガティブなイメージもありましたが、在宅勤務が定着していくと、今後見直し機運が高まっていくことが期待されます。地価もそれに伴う変動を見せるようになるのでしょうか。長期的・広域的な観点で注視していきたいと思います。
鑑定法人エイ・スクエア
不動産鑑定士 田島 耕一
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)
TAGS: コミュニティ・在宅勤務・多摩東部地域・新型コロナの影響・田島 耕一・鑑定法人エイ・スクエア | 2021年6月21日