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豪雨被害、洪水災害とハザードマップ - 評価コンサルオフィス・ケン/桂健二

新型コロナウイルス感染拡大で社会活動のありかた(デジタル化の進展、テレワーク、シェアオフィスの活用等)が変わり始めていますが、同時に繁華街商業ビル(飲食店、遊戯施設等利用)の利用者の顔ぶれも変わり始めて街並が変わってきています。

 

豪雨被害、洪水災害とハザードマップ-イメージ

また、ここ数年前から気候変動が激しさを増してきており、甚大な豪雨被害が発生して住宅等浸水リスクが大きくなってきています。令和元年6月の九州南部豪雨、7月からの台風による猛烈な風雨被害、更に10月の台風19号、21号による福島、千葉県、および長野県千曲川氾濫により市街地の大規模浸水被害となりました。東京の世田谷区でも多摩川の一部氾濫、支流の矢沢川、丸子川等の溢水による市街地浸水が発生しました。今年になって7月からの集中豪雨による熊本県球磨川水系の氾濫水害は記憶に新しいものです。

 

このように気候変動による甚大な豪雨被害が発生するケースが増えてきていることから、洪水ハザードマップの重要性が認識され、個人にあっては住まい選びや、生活安全のため自分や家族の命を守る観点からハザードマップの確認が重要となってきていると言えます。また、企業の経済活動においても気候変動リスクの重要度が高まり、研究所、工場、事務所等での安全確認、行動マニュアルの必然性が叫ばれ気候関連財務情報開示タスクホース(TCFD)の枠組みでリスクの分析や具体的対応策が検討されるようになってきました。

 

それでは具体的な洪水ハザードマップはどのように成ってきているのでしょうか?国土交通省では洪水ハザードマップ作成の手引き(改訂版、新基準)により地方公共団体に改訂を呼びかけていますが、日経新聞の調査では全国主要市区の約4割で改定作業が終わっていない状態となっています。反面、損害保険会社では、企業向け保険で洪水ハザードマップに連動して水害リスクに応じた地域別料金の導入が検討されています。さらに個人向け保険もこの仕組み導入が検討されるかも知れません。

 

江戸川区の水害ハザードマップでは「ここに居てはダメです。浸水の恐れがないその他の地域へ移動して下さい。」などの文言が記載されています。私の住む世田谷区では令和2年6月暫定版として「多摩川洪水版と内水氾濫・中小河川洪水版」ハザードマップが改定されました。浸水予想区域図、最大浸水深図により想定浸水深(ランク区分、0.1m~5.0m以上)と溢水河川からの地盤高と浸水深を区分け明示したハザードマップがネットで入手出来るようになりました。また、浸水の恐れが大きい地域の電柱に「想定浸水深、○メートル、この場所は△川が氾濫すると○メートル浸水する可能性があります」という世田谷区のお知らせが掲示されている所があります。これらは良い悪いは別にして地域の不動産需給にかなりの影響があるものと推察されます。

評価コンサルオフィス・ケン

不動産鑑定士 桂 健二

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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