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温泉権の評価について - 長嶋不動産鑑定事務所/土師 一弘

 

皆さんは大分県といえば何を想像しますか? 関アジ、関サバといった美味しい魚でしょうか。でも、別府・湯布院に代表される「温泉」を想像する人も多いのではないでしょうか。 環境省の「環境統計集」によると、平成26年3月末現在の大分県の温泉源泉数は4,411、湧出量は毎分28万6千リットルでいずれも日本一です。 単純温泉・二酸化炭素泉をはじめ、殆んどの種類の温泉が楽しめる大分県は、まさに「温泉天国」「温泉県」なのです。

 

では、温泉の「価値」はどのように判断するのでしょうか。我々大分県にいる不動産鑑定士はかならずこの問題に直面します。温泉権とは温泉を利用する権利ですが、「源泉を直接利用する権利」のみでなく「引湯して利用する権利」も含まれます。温泉権には「広義の第一次温泉権」と「第二次温泉権」があります。前者は次の3つから構成されます。即ち、ア.源泉地盤所有権、イ.採取設備所有権、ウ.湯口権(湧出温泉そのものを自由に支配できる権利)です。後者の「第二次温泉権」は温泉の給湯を受ける権利であり、引湯権もしくは温泉利用権、分湯権等と呼ばれています。この権利は、主として給湯会社が契約の相手方に一定量の温泉を給湯する債権・債務の関係であり、別府市内の一般家庭用の引湯権(新規の給湯契約に際して払う一時金)の価格は、80万円から100万円が相場です。

 

温泉権の鑑定評価では、前記の源泉地盤所有権は土地に含めて評価し、温泉権としては「狭義の第一次温泉権」つまり「湯口権」を評価するのが一般的です。採用する手法としては、①原価法(掘削費用用等から求める)、②取引事例比較法(実際の温泉権の取引から求める)、③収益還元法(分湯して収益が上げられる場合等に求める)、④固定資産評価基準に定める方法(鉱泉地の基本価格に同基準で定める湧出量指数及び温泉地指数を乗じて得た価格に、立地条件等を考慮して求める)で算定した額等を併用して求めます。この場合、鑑定評価では通常「狭義の第一次温泉権」を評価対象としているため、採取設備は評価額に含まれているということに注意しなければなりません。人工湧出による温泉は、採取設備=ポンプ・管等の揚水施設があって初めて温泉としての効用が発揮されます。採取設備を別途評価すれば、当該設備が不要な自然湧出による温泉以上の評価額を導く結果となり、両者の均衡を欠くことになるからです。

 

温泉権の評価はまだ確立されたものではありません。様々な意見があると思いますが、皆さんの温泉及び温泉権理解の一助になれば幸いです。

 

長嶋不動産鑑定事務所

不動産鑑定士 土師 一弘

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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