杜の都の「伊達」な地下鉄、本年末に開業 - 北斗総合鑑定/秋元 康男
平成27年12月6日、「杜の都」仙台市に二本目となる仙台市営地下鉄「東西線」が開業する。「東西線」は、仙台市南西部の「八木山動物公園」駅から、都心部の「青葉通一番町」駅、JR「仙台」駅等を経て、仙台東部道路「仙台東」I.C.付近の「荒井」駅まで、仙台市を東西に結ぶ約13.9km、全13駅の路線である。東日本大震災による工事中断を乗り越え、本年12月の開業が決定した。同路線に導入される新型車両2000系は、「自然と調和し、伊達の歴史を未来へつなぐデザイン」をコンセプトに、伊達政宗公愛用の兜に使われている『弦月形前立』を車両前面で表現する等、仙台の歴史をモチーフとしたデザイン・配色を各所に取り入れた「伊達」なデザインとなっている。
「東西線」に期待される第一の機能としては、仙台市が都市計画で標榜する「スマートシティ」実現のための新たな「都市軸」機能である。開業後は「仙台」駅まで15分と都心へのアクセスが向上する東の起点「荒井」駅周辺では、「荒井土地区画整理事業」が進行しており、駅周辺には商業施設や大型公園、復興住宅等の新設も計画されている。西の起点「八木山動物公園」駅(海抜137mに位置し、日本一標高の高い地下鉄駅となる予定)の周辺には、大規模住宅団地の他、動物園・遊園地等の観光施設、複数の大学等が集積しているが、当駅には、パークアンドライド用駐車場の他、キスアンドライド用乗降所等が整備され、通勤通学時の渋滞緩和へ期待がもたれている。
次に期待されるのは、近隣施設と連携した「都市機能の向上」機能である。「荒井」駅北東に位置する仙台港背後地区は、近年、「三井アウトレットモール仙台港」をはじめとする大型商業施設の集積が進む地域であるが、当地区に、本年7月、東北最大級のショープールを有する「仙台うみの杜水族館」が開業することから、「荒井」駅を活用した新たな人の流れ、繁華性創出が期待される。また、青葉山の麓に位置する「国際センター」駅には、大型コンベンションセンター「仙台国際センター展示場」が建設され、本年3月には「国連防災世界会議」の主会場として利用される等、大規模会議誘致への期待が高まっている。当展示場は「国際センター」駅と直結、当駅から「仙台」駅までわずか4分とアクセスが格段に向上することになり、「東西線」と近隣施設の連携モデルとして注目されている。
開業まで8か月。新機軸となる「東西線」開業が、復興途上である仙台市の経済発展に与える効果に期待が集まっている。
北斗総合鑑定
不動産鑑定士 秋元 康男
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)