北海道新幹線開業後の函館―景澤不動産鑑定事務所／景澤　周平

本年3月26日に北海道新幹線が開業しました。東京まで約4時間、仙台まで約3時間半、盛岡まで約2時間と時間短縮の効果もあり、北関東、東北を中心にした観光客の入込が増加しています。JR北海道の調べによると、9月までの上半期の利用実績は前年同時期の在来線と比べて、76.9%増加したとのことです。又、函館山ロープウェイをはじめとする観光施設を利用した人は、上半期前年度比17%増となっているそうです。ホテルも活況を呈しており、宿泊客数は4月から6月が対前年比19.7%増、7月から9月が対前年比12.2%増で、10月以降も7.9%の増加が見込まれているそうです。

聞くところによると、夏のピーク時には宿泊能力が追いつかず観光客を取りこぼしているということで、ちょっとした観光客特需となっています。

このため、新幹線開業までは、盛り上がりを欠いていたホテル投資の動きがここにきて顕著になっています。具体的な動きとしては、既存のホテルの増改築、休業中のホテルを借りての改装開業、営業中のホテルを買いとって国際的ブランドに衣替えをする等で参入企業も増えており、積極姿勢が窺えます。

一方で、新幹線特需は一時的であり、新規投資で宿泊能力が増えると観光シーズンが終わる冬場に過剰感が強まる可能性があるという意見もあり、土地を取得してホテルを新設するという動きは一部に止まっています。

このため、観光客フィーバーに沸く函館ですが、北陸新幹線開業後に地価が上昇した金沢や富山と異なり、本年9月に発表された地価調査では上昇地点は見られませんでした。

毎年、約3千人の人口が減少し、10年後には22万人〜23万人になるといわれている厳しい状況にある函館にとっては観光に力を入れざるを得ません。

活況を呈しているホテルをはじめとする観光業界では、人手不足もあって賃金上昇も見られるようであります。

本年9月に函館駅前で大手資本によるホテルを含む複合店舗施設の建設が発表されました。徐々にではありますがホテルをはじめとする観光関連施設の用地取得の動きがここにきて見られるようであります。このような観光業界の景況感回復を他業種にも反映させ、函館全体の景気を押し上げていくことが期待されています。夏場だけでなく、冬場においてもベイエリアにおけるクリスマスファンタジー、函館山からの夜景、五稜郭等の冬景色は素晴らしいものがあります。民間シンクタンクの地域ブランド調査で3年連続で魅力度ランキング1位となった函館へ新幹線に乗って是非おいで下さい。

TAGS: 函館・北海道新幹線・景澤不動産鑑定事務所・景澤周平 | 2016年11月19日