ひとが増え続けるまち、滋賀 - 株式会社新日本鑑定法人/齊藤 美絵
滋賀県というと「琵琶湖があって、人口減少と高齢化の進む地方都市」というイメージを持っておられる方も多いのではないだろうか。琵琶湖はもちろんわが県が全国に誇るシンボルなのだが、実は人口増加率全国7位!過去30年のデータを見るとずっと増え続けており、推計では2015年がピーク、その後減少するも、2035年における2005年からの増減率予想では全国3位をキープする。その要因は何か?
まずあげられるのが大学の設置であろう。この20年余りの間に7大学の開学があった。中でも立命館大学が進出した草津市の発展は目を見張るものがある。大学の最寄駅であるJR「南草津」駅周辺は、20年前に開業した当時、田んぼが広がるのどかな町であった。その後土地区画整理事業によるまちづくりが進められ、中高層のマンションが急増、今や住・商が融合する県内屈指の発展街で、開発・販売業者にとっては事業成立性の最も高い地区の一つとして評価されている。次に京阪神の大企業の進出による雇用の創出があげられる。フジテック本社、大日本スクリーン製造の事業所等の県内進出による雇用拡大が、人口増加につながったようである。
滋賀県の工場用地の競争力は高い。その理由としては①関西・東海・北陸経済圏の結節点 ②名神、新名神、北陸自動車道による充実した高速交通網 ③値頃で広い敷地の確保が可能、等がある。リーマンショック後の景気悪化で事業所の統廃合が相次いだ時も、滋賀県の事業所は残されるケースが随所で見られた。
商業施設はどうだろうか?ホットなスポットといえば、まず、草津市にある「イオンモール草津」。2008年開業、延床面積約17万7千㎡。イオン草津店を核店舗に186の専門店街とシネマが入居する。太陽光発電設備や氷蓄熱式空調システムの導入でCASBEE(建築物総合環境性能評価システム)の最高位「S」を取得、「西日本最大級のエコショッピングモール」を銘打っている。もうひとつは蒲生郡竜王町の「三井アウトレットパーク滋賀竜王」。2010年開業、237店舗、延床面積約9万2千㎡と近畿圏最大級の規模を誇る。名神高速「竜王IC」から近い「環境共生型アウトレットモール」で、2011年度の売上高は約274億円と、当初の想定額230~260億円を上回って好調に推移している。
とはいえ、中にはやはり衰退する既存商店街もあれば、過疎化が進む限界集落もある。一方でひとが集まり、力強く発展し続けるまちがある。それは滋賀県が持つ高いポテンシャル、秘めた底力である。ぜひともみなさん、その目で確かめに来ていただきたい。「そうだ、滋賀、行こう!」
株式会社新日本鑑定法人
不動産鑑定士 齊藤 美絵
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)
TAGS: 株式会社新日本鑑定法人・滋賀県・草津・齊藤美絵 | 2014年6月20日